1996年に起きた狂牛病騒ぎは欧州全域にわたって大恐慌を引き起こし、三年程続きました。それに続き、今年5 月28日にはベルギーで再びダイオキシン事件が起きました。汚染の可能性のある食品は、鶏などの家禽類も含めて、卵、牛肉、豚肉、牛乳、そして何百種類かの乳製品に及び、狂牛病騒ぎに続く、欧州最大の食品汚染事件になりましたが、その範囲の広さ、影響の大きさは前回に匹敵するものでした。
今年3 月にベルギーのいくつかの養鶏場で鶏の成長が突然異常になったり、産卵量が減ったり、卵の殻が硬くなったり、病態反応を示したことが「鶏汚染」事件の引き金になりました。関係機関が鶏の脂肪を化学検査した結果、脂肪中のダイオキシンの濃度は世界保健機関で規定された標準の140 倍を超えることがわかりました。汚染されたこれらの鶏は過量のダイオキシンが入る餌を食べて病気になったと考えられます。
ダイオキシンは有機塩素系化学合成物質の一種で、専門家の研究によると、この合成物質の大部分は強烈な発ガン性を有する外に、生殖毒性、免疫毒性、内分泌毒性もあることが明らかになりました。そしてその発生源の広さと毒性の強さにより、世界中で最も毒性の強い有機化合物の一つであり、人類の健康を潜在的に深刻な危険にさらすものであるとみなされています。1997年に世界保健機関はすでにそれが発癌物質に分類されると認定しました。極めて微量であっても長期的な吸収によってガンや皮膚病や肝・腎の疾病を引き起こす可能性があり、もしそれが妊婦の体内に吸収されれば、生殖障害や、奇形児出産の原因にもなり得ます。また、ダイオキシンは母乳、あるいは牛乳を通じて乳児の体内に入り、大きな害を引き起こすこともあります。
ダイオキシンは産業の意外な副産物です。都市では生活ゴミ焼却炉から発生したダイオキシンの量が、調査した限りではダイオキシンの総量の95%を占めました。殺虫剤、防腐剤、除草剤やペンキの生産過程において、ダイオキシンは常に副産物の形で「生まれ」ます。また、紙の漂白、車の排気ガス、金属の熔錬もダイオキシン発生の主要な原因です。人間は車の排気ガスを吸い込み、空気中の埃を摂取し、汚染された土壌、食事などのルートでダイオキシンと接触します。しかし、その主要な汚染ルートは餌を通じて家畜に吸収され、それから動物性食品を経由して人体に入り、体内の脂肪に蓄積します。その化学構造はかなり安定しているため、なかなか排出されません。
今回の食品汚染事件はベルギーにあるヴァーケスト(Verkest)という動物油脂の生産工場で起きました。この工場は機械用油(中に高濃度のダイオキシンが入っている)に汚染された8トンの動物油脂を欧州にある13軒の餌生産工場に売りました。その内訳はベルギー9軒、ドイツ2軒、オランダとフランス各1軒ずつです。この13軒の餌生産工場はさらに汚染された動物油脂を使って餌を生産、そして2000軒以上の家畜飼育場に売りました。ダイオキシンはこのようにして広がりました。毒性がある餌に汚染されたと疑われ、売買が禁止された物は家禽類、卵、豚肉、牛肉、乳製品およびそれらの加工製品にまで拡大しました。
食品の安全問題はますます世界に注目されますが、問題のある食品の及ぼす恐慌も常に世界的です。5 月28日にベルギー政府は汚染されたすべての食品を片っ端から徹底的に取り除きました。このニュースがマスコミに報道されると、ベルギー全土およびベルギーの家畜・乳製品を輸入する他の国にまで大きな恐慌を引き起こし、それらの政府は直ちに厳しい制限措置を取りました。EU委員会はすぐに加盟15カ国において販売を禁止し、また、汚染されたベルギーの家畜・乳製品を処分すると宣告し、各メンバー国も輸入禁止の決定を下しました。ベルギーは餌料の生産大国なので、欧州の他の国もベルギーで生産された餌を使っていたため、アメリカは欧州の肉製品を全面的に拒否すると宣告しました。南アフリカ、サウジアラビア、コンゴ共和国、ブラジル、マレーシア、シンガポール、台湾、香港、中国、タイ、韓国、日本、フィリピンを含む世界中の多くの国が一時的に、ベルギーなどの国からの、ダイオキシンに汚染された食品の輸出、販売を禁止しました。人にあまり知られていない単語―「ダイオキシン」は、一時多くのマスコミに頻繁に登場し、多くの消費者に、聞いただけで顔色が変わるほ
どの恐怖を感じさせました。
この、いわゆる狂牛病以来最も深刻な食品恐慌は、いまだに広まり続けてベルギーに多大な政治的影響と経済損失をおよぼし、消費者の健康に対する影響も目下のところ、計り知れません。それと同時にドイツのヘンソン州でもダイオキシンに汚染されたハンバーガー用牛肉が発見され、ダイオキシンの濃度は安全基準値の5 倍でしたが、幸いなことに市場にはまだ出荷されていませんでした。アメリカのニューヨーク大学のあるレポートによると、アメリカの豚肉から検出されたダイオキシンの濃度はベルギーの豚肉より11倍高く、また、アメリカの各スーパーマーケットで売られているアメリカ産豚肉の中には平均1グラム中に11.8ピコグラム(ピコは一兆分の一)の発癌物質が入っているといいます。
近年、引き続き起こった食品安全問題は消費者にかなりの不安を与えました。『ベルジャン・フリーダムデイリー』紙が発表した社説に「牛肉にはホルモンがあり、チーズには防腐剤が含まれ、豚肉には疫病と抗生物質があり、魚は水銀に汚染され、いまは鶏と卵にも発癌物質が入っています。それでは、私たちは今夜何を食べたらよいのでしょうか」という問いかけがありました。実は、その答えはとても簡単です。すぐに、菜食を始めましょう!
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