
神への縄
Supreme Master Ching Hai
1985.9.27
フォルモサ・台北・内湖(英語)
昔、妻を深く愛する人がおり、二人は離ればな れになる事は決してありませんでした。しかしある日、妻はどうしても両親と会う用ができて、里帰りしました。その夜、彼は妻がとても恋しくなり、追いかけて彼女の実家へ行きました。着いた時にはだいぶ夜もふけていたので家には鍵がかけられており、塀も高かったため、彼は中に入れませんでした。そこで家の周りを歩きまわって、やっと太い縄を見つけました。その縄は塀の高い所から地面まで垂れ下がっていました。そこで、彼は縄を使って二階まで登りました。そしてやっと妻と会いました。妻が驚いて彼に聞きました。「どうやってここに来たの?」彼はこう答えました。「君が上からぶら下げてくれた縄を使って登って来たんだよ。それで君の所へ来られたんだ。わかっているだろう?
ぼくが来るとわかっていたから、君はあの縄を用意してくれたんだろうと考えたのさ」彼女は言いました。「いいえ、とんでもない! こんな時間に来るとは思いもよらなかったわ」そこで夫が言いました。「信じられないなら、一緒に確かめに行こう」。こうして二人はその縄を確かめに行きました。そこでやっとわかりました。
塀から垂れ下がっていたのは実は縄ではなく、巨大な蛇だったのです。しかし、あまりにも暗かったために、彼はそれが蛇だと気づかなかったというわけです。彼は盲目的な愛情で、もう少しで彼女のために自分の命を落とすところでした。
そこで彼女は夫に言いました。「まあ、何て事でしょう! こんなに私を愛しているだなんて。でも、私はあなたに何ができるでしょう?
もし、あなたが私を愛するのと同じ愛で、そして同じくらいに神を愛していたら気がついていたでしょう。あなたが強く悟りを望み、神をとても愛していたなら、今頃はもう神を見つけて偉大な聖人になっていたでしょうに!
でも、私に対して一生懸命愛情を注いで、いったい何が得られますか? 何も得られないわ!」その瞬間、夫は悟りました。目覚めたのです。彼は同じ蛇を使って地面に滑り降りて立ち去り、二度と妻とは会いませんでした。その後、彼は偉大な聖人になって、完全に開悟しました。
みなさん、わかりましたか? この世は何でもこんなありさまです。妻や子供や夫などの面倒はよく見ても、自分の事は放っておきます。しかし、何といってもみなさん自身が最も大切なのですよ。家族の面倒をよく見て、「自分の本性」を見失う事が何かの役に立ちますか?
私たちは家族のもとにいて、家族の面倒を見ます。しかし自分の面倒を見て、自分の本性を見つけなければならないのです。私たちはいったい何者で、何のためにこの世に来たのか、これらの事がわかっていなければ、死後何も得ることはできないのです。

|