シネマシーン

第四の賢者

ああ 心の中の真の神よ!
私は何もいりません
ただ あなたについて行きます。
貴重な真珠をあなたに捧げることをお許しください
あなたの王座を称えるために!
 

 三人の賢者が予言の中の救世主を見つけるために星を追っていました。ポスマカ族の修行者のアルタバンも星座の研究をしており、救世主の誕生を知っていました。彼は三人の賢者の旅に加わり、一緒に救世主――彼の心中の真の神――を探して真珠を捧げようと、全財産をサファイア、ルビー、そして貴重な真珠に換えました。
 アルタバンは、途中で一人の乞食を助けるために三人の賢者の駱駝隊を見過ごしてしまいました。しかし彼はあきらめませんでした。砂漠を越えてイエスが生まれる馬小屋のあるベツレヘムまで行くため、サファイアを売り、駱駝隊を編成しました。この頃ヨセフ一家はヘロデ王の殺害から逃れるためにエジプトから逃げ出していました。アルタバンはヘロデ王の軍隊と遭遇し、ヨセフ一家の男の赤ちゃんを助けるために指揮官に賄賂としてルビーを渡し、軍隊を遠ざけました。
 アルタバンの下男のオロンテスが引き返そうとすすめても彼は耳を貸さず、エジプトへの旅を続けました。エジプトに着いた時、アルタバンは道に迷い、どこに心の神様を探しに行けばよいのかわからなくなりました。友人に教えられ、裕福な人々の住む所から離れてスラム街に探しに行きましたが、途中で強盗に遭い、最後の唯一の真珠を奪われて、さらに彼らの隠れ家にまで連れて行かれました。一人の女性が、アルタバンに医術の心得がある事を知って我が子の見えない目を治療してもらったおかげで、彼は真珠を返してもらう事ができました。アルタバンは盗賊たちの中にハンセン病の者が多くいて、治療も受けていない事を知り、彼らを助けるために、そこにとどまる事に決めました。また、治水工事や農作業を指導して自給自足の生活ができるようにしました。 
 こうしてあっという間に三十年が過ぎました。ある日、昔の友人のタイグランスが娘のミッシェルを連れて訪ねて来て、アルタバンの父親が亡くなった事を知らせました。この時、すでにアルタバンは年老いており、しかも重い病気にかかっていました。彼は「私の魂はもう豊かな収穫はできない、心の中の神様を探す機会はもうない」と思い、非常に落ち込んでいました。彼は自分の失敗を下男のオロンテスに見せたくなかったので、彼を自由にして好きな所に行かせました。
 その後、オロンテスはエルサレムでイエスの奇蹟を目にして、すぐにアルタバンの所に戻って教えました。しかし、アルタバンがエルサレムに着いた時には、イエスは捕えられてもうすぐ処刑されるところでした。アルタバンはイエスの命を、真珠を使って救おうと考えました。ところがミッシェルに出会い、彼女の父親の商船が沈没して多額の借金ができたために父は殺され、彼女も間もなく売られる事を知りました。この切迫した事態に、アルタバンは真珠によってミッシェルの自由を取り戻しましたが、すでにイエスは十字架に磔にされて亡くなっていたので、彼は最後の望みの綱も絶たれてしまいました。
 今やアルタバンは無一文で、死にかかっていました。ちょうどその時救世主が現れました。アルタバンは「あなたは私の神ですか? あなたはまだ亡くなっていないのですか? ああ、私の主よ! あなたをずっと探し続けていました。お許しください、あなたに貴重な贈り物を捧げるつもりだったのですが、今は何も持っていないのです」と言いました。救世主は彼に言いました。「あなたはもう贈り物をくれました。私が空腹の時は食べ物をくれました。のどが渇いた時には飲み物をくれました。着る物がない時は服をくれました。私が家もなく、帰る所もない時は泊まらせてくれました」。アルタバンは驚いて「主よ! 私はいつあなたに会いましたか? いつそのような事をして差し上げましたか?」と言いました。救世主は答えました。「私の兄弟にしてくれたすべての事は、私にしてくれるのと同じなのです」。それを聞いたアルタバンはやっと願いがかない、安心して息をひきとりました。