本文版権:1996 CSPJ
Nutrition Action Health letterより
最も健康に良い食事は、植物性の食品(野菜、果物、豆類)を主とし、動物性の食品(肉、魚、鶏類、乳製品)、特に高脂肪を含んだものを少なくすることにあると言われていますが、これにはたくさんの証言があります。
「果物や野菜の多い食事を摂ると、病気や死亡の主な原因となる、あらゆる危険を少なくすることができる」と、ハーバード大学の公共衛生学部、栄養課の主任であるWalter Willet 氏は言っています。
多くの人々にとって菜食主義者とは特別な言葉です。それは概して道徳的、宗教的、健康上の理由で、肉や魚や鶏類を決して食べない人々のことを言います。完全菜食主義者は、乳製品や卵も避けます。しかし、科学者たちは動物性食品を食べるか食べないかではなくて、どの位の頻度で食べるかということに関心を示しています。そして、結局彼らの研究の多くが、動物性食品を少なくして植物性食品を多く摂るべきだという、同じ結論に達しています。なぜでしょうか。ここに十の理由を挙げてみましょう。健康に関係のあるものとないものとがあります。
1.癌
「科学的な見地からみて、果物や野菜はすべての消化器系の癌や、喫煙が引き起こす癌を予防するという結論に達する」と、デンバーのコロラド大学健康科学センター予防医学専攻のTim Byers 教授は言っています。それは肺、結腸、胃、喉頭、食道、膀胱などの癌も含みます。
また最近の研究によると、トマトやトマトソースに含まれるカロチノイドの一種であるリコピンが、前立腺の癌の予防になることが発見されました。
どのようにして果物や野菜が癌の危険を減らすのかということについては、まだはっきりしていません。たぶん、カロチンやビタミンCとE、セレン、インドール、フラボノイド、フェノール、リモニンなどの植物から摂れる化学物質の働きによるものと思われます。
また、ふすまのような繊維質を多く含んだ穀物が、癌の危険性を少なくするという証拠もあります。「繊維質は結腸癌を予防するために大変良い効果がある」と、トロント大学の繊維質学の専門家David Jenkins 教授は言っています。そして、動物性食品、特にある種の癌の危険性を増進させる赤身の肉をやめて、パスタや米などの穀類に変えたほうが良いと言っています。
「赤身の肉を主菜として週に五回以上食べる人は、一ケ月に一回以下しか食べない人の四倍も結腸癌にかかりやすい」と、ハーバード医科大学のEdward Giovannucci教授は言っています。5万人の男性の医療関係者を調べた結果、赤身の肉をたくさん食べる人は、普通の人の二倍は前立腺の癌にもかかりやすいと言っています。
これは、ほんの一例にすぎません。他の研究結果をみても、「赤身の肉は結腸癌とたぶん前立腺の癌の危険性を高めるということは十分に考えられる」と、ミネソタ大学のLawrence Kushi教授は言っています。
脂肪分の少ない赤身の肉でさえ、結腸癌の危険性を増すわけですが、「これはたぶん肉を調理するときに発生する発癌物質か、肉にたくさん含まれている鉄分か、又は肉の中にある何か他のもののせいではないか」と、Willet氏は推測しています。
2.心臓病
果物や野菜を多く摂る菜食は、心臓病の危険性を少なくします。最近20年程の間、心臓病の専門家たちは飽和脂肪やコレステロールを摂取することを控えるように強調してきましたが、植物にはそれとは違う方法で心臓を保護する働きがあります。たとえば、
★水溶性繊維質:「心臓病の危険を少なくするために、もっと豆類や麦類をとるべきです。その粘り気のある水溶性繊維質は、血液中のコレステロールを下げる働きがあるからです」と、Jenkins 氏は言っています。
★葉酸:「葉酸が心臓病の危険性を少なくするという証拠はかなりはっきりしています」と、Willet氏は言っています。葉酸、つまりビタミンBの合成物は、血液中のホモシステインと呼ばれる有害なアミノ酸を少なくする働きがあるのです。「そして葉酸は主に果物や野菜に含まれています」と、Willet氏はつけ加えました。
★酸化防止剤:LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、それが酸化したときにだけ動脈硬化の原因となり老化を進めます。研究者たちが、ビタミンEのような酸化防止剤が心臓を守ると考えている理由はそのためです。果物や野菜の中の植物化学的な物質の多くは酸化防止剤です。
★飽和脂肪酸を排出する:植物性食品を多く摂ると、動脈の血管を詰まらせる原因となる動物性飽和脂肪は、必然的に少なくなります。
3.卒中(中風)
「果物や野菜には卒中の発作の危険性を少なくする効果があり、それを示す証拠はたくさんある」と、Willet氏は言っています。たとえば、832 人の中年男性についての20年間の研究では、毎日三食果物や野菜を食べたことで発作の危険が22%減ったのです。これが、果物や野菜に含まれるカリウムやマグネシウムや繊維などが、脳の中の血管が詰まるのを防いだ結果だとはっきり断定することはまだできませんが、そのような結果が出ています。
4.憩室症と便秘
高繊維質の穀物(特に小麦のふすま)は便秘を防ぎます。それは年に何百万ドルを緩下剤に使うアメリカのような国にとって、ばかにならないことです。憩室症もよくあることです。50才以上の30〜40%の人々がかかっていますが、ほとんどの人に自覚症状はありません。出血や便秘や下痢、ガスによる鼓腸、痛みとか憩室症(これは、結腸の腸壁に作られた小さな袋状のものが炎症を起こしたもの)のような症状のある人もいます。「私たちの研究で、ふすまや野菜・果物などからとれる繊維質が、腸を保護するということは明らかです」と、Willet氏は言っています。一日に13g 以下の繊維質しか摂らない人は、少なくとも32g の繊維質を摂った人と比べて、憩室症に二倍もかかりやすいと言われています。
5.その他の疾患
野菜などを多く摂る食事は、他の病気も予防します。
★黄斑変性症(眼底網膜に起こる異常):主に緑の葉菜類に含まれるルチンと呼ばれるカロチノイドは、高齢者の失明の原因となる目の網膜の老化を防ぐのに効果があるかもしれません。「私たちの研究では、ホーレン草や緑色の野菜を週に二〜四回食べた人は、1ケ月に一回も食べなかった人に比べて黄斑変性症の危険は半分になる」と、ハーバード医科大学のJoanna Seddon 女史は言っています。
★神経管不良症:葉酸のサプリメントは、脊柱の裂傷や神経管の先天性欠陥の危険を防ぐ可能性があります。主に野菜や果物などの食物からとる葉酸も、その危険性をカットするでしょう。
★糖尿病:「成人病としての糖尿病の危険性も、穀物の全粒をたくさん食べている人は少なくすることができる」と、Willet氏は言っています。
6.より安全な食物
食物から来る恐ろしい病気の中には、家畜の飼料を通して人体に入って来るものがあります。「牛挽肉はO157大腸菌の感染源として、最も疑われています。鶏肉はサルモネラ菌やキャンピロバクテリアを運び、生の貝類は腸炎ビブリオの原因となることがあります」と、アトランタの疾病管理センターのDavid Swerdlow氏は言っています。
生の食物は何でも野菜や果物も含めて、有害なバクテリアを運ぶことがあります。「たとえば、最近のサルモネラ菌の中毒事件は、カンタロープ(マスクメロンの一種)やトマト、アルファルファなどと関係がありました」と、Swerdlow氏は言っています。しかし、肉やシーフードや鶏肉が、食物による病気の原因として最も疑われているのです。
7.環境
「私たちの食習慣は、地球上に大きな影響を及ぼします」と、Jenkins 氏は言っています。「動物性食品を食べることが、もっとずっと小規模であったならば、地球を破壊することはなかったでしょう」と、シアトルの北西部環境局長Alan Durning氏は言っています。「現代の食肉生産は、穀物、水、エネルギー、放牧地の集中的な使用をしています。そしてそれは誤った使用をしていることもあります」と、Durning 氏は次のような例を引いて説明しています。
★水質汚染:牧場や養鶏場やその他の飼育場から出る糞や廃水は、水資源を汚染する恐れがあります。
★大気汚染:3000万トンのメタンガスはこれらの廃水や堆肥から発生し、地球温暖化を助長します。
★土壌流失:世界の穀物生産の40%近く、またアメリカの穀物生産の70%以上は家畜の飼料になります。私たちが生産する食肉、鶏肉、卵、牛乳など1ポンド( 約450 c)につき、約5ポンドの表 土が消えていくことになります。
★水資源の消耗:食肉牛を飼育するための穀物や干し草の約半分は、灌漑された土地で成長します。このため1ポンドの牛肉を生産 するのに、約390 ガロン(約1.5 d)の水を必要とします。
★エネルギーの使用:家畜を生産したり運搬したりするのにかかるエネルギーは、野菜を作ったり運んだりするために必要とするエネルギーの約五倍になります。
★過度の放牧:乾燥したアメリカ西部の約10%は、家畜のために砂漠となっています。その地域のある部分は他に利用が見込めるとは思えません。「これで、私の主張が菜食主義のためではなくて、人々に家畜生産物の消費を減らして欲しいためであるということが、おわかりいただけると思います」と、Durning 氏は言っています。
8.費用
確かに私たちは、良い肉やグルメの食物に1ポンドあたり7.99 ドルものお金を支払うこともできます。しかし、スカッシュ(果汁入りソーダ)からサツマイモまで、ほとんどの植物性食品の方が絶対に格安です。そして、植物性食品が安いことは外食をするともっとよくわかります。中国料理や、インド料理やその他大多数のレストランで、普通菜食のメニューは、肉や海産物や鶏肉よりも安くなっています。
9.動物保護
そのことを考えるのはあまり気分のいいものではありませんが、我々が動物を、つまり我々の食べた動物を屠殺する前でさえ、それらの動物はしばしば非人道的な状況下で育てられ、そして輸送されているのです。
10.味
植物性食品の多い食事をする第一の理由は、おいしいと言うことです。アメリカ人がよく食べる五種類の野菜は、フレンチフライ、トマト(大部分はトマトソースやケチャップとして)、玉葱、葉が固く巻き込まれたレタス、ジャガイモで作られたその他の食品です。
しかし、アメリカ人の大部分が、夕食の皿の上に肉やシーフードや鶏肉をのせるのを少なくするとしたら、彼らは、そして彼らのお気に入りのたくさんのレストランは、その代わりに何をのせたらいいかわからなくなってしまうでしょう。私たちはエスニック・レストランに行って、植物性食品を主にした興味深い料理を学ばなければなりません。エスニック・レストランが野菜の料理をおいしくする方法を知っているのは偶然ではありません。「幸いにも、あらゆる伝統的食生活は植物性食品をベースにしているので、世界には野菜料理についての経験の積み重ねがたくさんあります」と、Willet氏は言っています。
それにしても、イタリア料理、メキシコ料理、その他のエスニック・レストランはすでにたいへんアメリカ的になってしまっていて、その野菜料理が大幅に肉やチーズに置き換えられてしまっています。恥ずかしいことです。アジアや地中海地域の中には、果物や野菜の調理が一種の芸術にさえなっているものもあります。また、イタリア人はピザにあまり多くの肉やチーズを使いません。私は最近伝統的レストランで、さくさくした薄い皮のピザを食べました。チーズは入ってなくて、新鮮なバジルとトマトとガーリックだけでしたが、それはほんとうにおいしいものでした。
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