ある夫婦の飼い犬が死んでしまいました。彼らは、その犬を犬の墓地に埋葬して、家に戻ってきました。二人とも何も言いませんでした。けれども、しばらくして、夫が妻の肩に腕を廻しながら言いました。「ごめんよ、おまえ。あの犬にあまり優しくしてあげなくて。でも、死んでしまった。ちょっと申し訳ないと思っているんだ。もしおまえがそのことで気が滅入っているなら、おまえのために別の犬を飼ってもいいと考えているんだ。だけど本当のことを言うと、僕は犬が嫌いなんだ。もしおまえを愛していなかったら、僕は一刻たりとも犬なんか飼いたくなかったんだ」
妻は向き直り、夫を見て「なんですって?! あなたの犬じゃなかったの!」
二人が結婚して、新居に引っ越して来た日に、その犬も引っ越してきました。二人とも相手の犬だと思っていたのです。なんて幸運な犬だったんでしょう。
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